そもそもユニック車とは?
小型のクレーンを装備したトラックを通称ユニック車と呼びます。もともと「ユニック」という名は、ユニック車の大手製造メーカー、古河ユニック社の登録商標名です。ユニックの名のもとにクレーン付きトラックが世に広まり、今では他メーカーのクレーン付きトラックも含めて一般的に「ユニック車」と呼ばれるようになりました。 ちなみに、「古河ユニック」社と双璧をなすタダノ社では「カーゴクレーン」、新明和工業社では「CBクレーン」と呼ばれます。
ユニック車のクレーンについて
ユニック車のクレーンの竿部分を、ブームと呼びます。ブームは長さを調節きるようになっています。ブームを伸ばすことのできる長さは段数によって変わり、段数が多いほど長尺になり、車両価格も高くなります。
最大4段まで伸びるタイプがもっとも汎用性が高く人気がありますが、長尺タイプではロングセラーの6段ブームタイプ、さらに最近では7段ブームも登場しています。長尺ブームタイプは高層作業現場、また山間部における積荷の移動などで活躍します。
ユニック車の種類
ユニック車は、「クレーン付き」「簡易クレーン」「ハイジャッキ」の3種類に分かれます。
このうち、「クレーン付き」タイプは、基本的にキャブと荷台のあいだ(キャブバック)にクレーンが設置されているものです。キャブバック型とも呼ばれ、最も一般的なタイプになります。
「簡易クレーン」は荷台の上にクレーンが載っているタイプです。荷台内架装型とも呼ばれ、ブームの段数は2段〜3段、吊り荷重は0.8トン〜2.6トン程度と小型のタイプになります。
「ハイジャッキ」は車体を浮かせて斜めに傾けることができるタイプになり、車両や重機等の運搬などに向きます。
アウトリガーについて
ブームを長く伸ばしたり、吊り重量が大きいほどユニック車はバランスが悪くなり、危険となります。実際にクレーン事故において多いのは、吊り上げ時にバランスを失うことによる転倒です。作業側はもちろん、周辺で巻き込まれてしまった側の被害も甚大となります。
それだけに、取り扱い荷重に適したアウトリガー車両の選定や、適切なアウトリガーの設置が重要になります。 アウトリガーとはユニック車に付帯する支柱のことで、これを地面に設置させて支柱とすることによって車体を安定させる役割を果たします。段数が多いタイプのユニックと相性が良く、重量物を持ち上げる場合には必須のパーツです。
通常アウトリガーはクレーンが取り付けられているキャブバックの左右に飛び出して支柱として機能しますが、車両の後ろに配置される「リアアウトリガー」がついているタイプもあります。また上記の「ハイジャッキ」タイプの場合は、車体を浮かせるために「ハイアウトリガー」と呼ばれる支柱の長さが長いものがついています。
気をつけたいユニック事故
上記のとおり、ユニック作業は転倒などによって甚大な被害が起こる可能性があります。多くの事故は、操作を誤ったり、確認が不足していることによるものです。事例①:架空電話線の切断
道路照明柱の撤去作業中、ブームを操作する者が操作の途中で荷台の固定作業などでその場を離れた。その際に、代わりの操作者にブームを格納していない旨の連絡を失念。ブームを上げたまま走行し、架空線を損傷し、13戸~約3時間の電話不通が生じた。事例②:架空電話線の切断 その2
ユニック車へ廃木材を積込み中、携帯電話に着信があり、通話状態にした際、ユニック操作を誤り架空の電話線を切断しそうになった。事例③:あやうく転倒
ユニック作業中、荷を吊り上げようと巻き上げたところ、地盤が思ったより軟らかく、転倒しかけた。敷き鉄板を何枚も入れて何とか吊ることができたが、危うく転落・転倒が生じるところであった。事例④:あやうく転倒その2
2tのユニック車にて荷物を吊上げている時、作業時にアウトリガーを張り出していたが、地盤が緩く、アウトリガーが地中に入ってしまい、横転しそうになった。
上記の事例に似たパターンは多くあるかと思いますが、ブーム収納を必ず確認してから走行することや、操作中に携帯を操作しないこと、吊荷が比較的軽くてもアウトリガーの沈み込みが懸念される場合は敷き鉄板を必ず使うことなど、基本的なことを徹底していれば発生を防ぐことができます。