産廃がれき類(ガラ)や、土砂等の運搬において頻繁に使用されるダンプカー。一口にダンプカーといっても、実はサイズや特徴によってさまざまな種類が存在します。今回は産廃運搬向けのダンプカーの種類と、使用する際の注意点について解説します。
ダンプとは?トラックとの違い
ダンプカーとは、荷台部分を傾斜させて積荷を一気に滑り降ろすことができる運搬用の自動車です。大まかに種類分けすると、ダンプカーはトラックに区分されます。トラックという大枠の中に、ダンプカーという種類が存在するイメージです。
総重量によりダンプの呼称が変化し、総重量が20t以下のダンプを「大型ダンプ」。総重量が8t以下のダンプを「中型ダンプ」、総重量が2t、3tのダンプを「小型ダンプ」と呼称します。
大型は一度に多くの積荷を運ぶことができますが、狭い路地などは走行できません。一方の中型・小型では積荷の量は少なくなるものの、小回りが効くため利便性が高いのが特徴です。
ダンプカーの種類は大きく5つ
さて、ダンプカーには大きく5つの種類が存在します。
リアダンプ |
リアダンプは、荷台が後方に傾いて積荷を降ろすタイプのダンプカーです。国内のダンプではもっともポピュラーな種類で、「ダンプ」と聞いて最初にイメージするタイプといえます。 |
サイドダンプ |
サイドダンプは、荷台が横方向に傾くタイプです。左右両サイドに積荷を降ろすことができます。 |
三転ダンプ |
左右後方の3か所から積荷を降ろすことが可能なのが三転ダンプです。どの方向にでも積荷を降ろすことができるため、さまざまな現場に対応することができます。 |
重ダンプ |
重ダンプとは、大容量の積荷を運搬することができる巨大なダンプカーです。国内では一般公道を走行するダンプカーの積載量に関しては、車両総重量が25tまでと決まられています。そのため重ダンプは鉱山の採掘現場などで活躍しており、サイズも25~300tまでさまざまです。 |
ローダーダンプ |
荷台を後ろにスライドさせて荷を積み降ろすセーフティローダー機能が付いていることからセーフティダンプとも呼ばれています。荷台の自由度が高いため、土砂や産廃だけでなく作業車両の運搬にも利用されます。 |
産廃運搬用のダンプに関する注意点
産廃の運搬用としてダンプを使用する場合、注意しておくポイントがいくつかあります。土砂と産廃の違いに注意する
土砂とは地表・地盤等を掘削するなどして採取された、土・石・礫(れき)砂利が集まったものを指します。岩石等が混入されていても全体として土砂とみなすことが出来る場合もあります。これらは廃棄物処理法での廃棄物に当たりません。
一方で、土砂等の中に産業廃棄物(建設汚泥やコンクリートを破砕したもの等)が混入されていた場合には廃棄物に該当します。そのため、廃棄物処理法に準じた処理をしなければ処理法違反として扱われます。
また、産業廃棄物処理法に規定する汚泥として取り扱うものを建設汚泥といいます。汚泥は標準仕様のダンプトラックに山積みできません。積載時に汚泥と判断される流動性がなくても、運搬中の練返しによって泥状になってしまうものは汚泥として扱われます。
土砂禁ダンプ(深バチ・深ダンプ)か確認する
土砂禁ダンプ(通称:深ダンプ、深バチ)とは通常の土砂ダンプよりもアオリが高く設計された特殊ダンプです。アオリを高くすることで同じ荷台面積のダンプよりも多くの積載容積を実現していますが、土砂など比重の高い積み荷の積載は過積載となりやすく、横転など事故防止の観点から土砂禁とされています。
また、土砂以外にも、比重が高い鉱さい・コンクリート類・がれき・陶器やガラス・汚泥は土砂同様に深ダンプには積載不可となります。一方で、比重が軽くかさばる割に重量が軽い空ペットボトルや発泡スチロール類・ウッドチップなどの積み荷を大量に運搬する際に、深ダンプが活躍します。
深ダンプで運べるものの中で、特に代表的なのは金属くずです。おもに工場の金属加工時に生じた切りくず等が該当しますが、軽くてかさばるのでアオリが高い深ダンプが運搬に適しているわけです。
一般的にダンプというのは土砂や汚泥を運ぶことが多いので、深ダンプでも運べると思いがちですが、深ダンプによる土砂運搬が発覚すると厳しい罰則を受けてしまうので注意が必要です。使用するダンプカーが土砂禁ダンプかどうか、自分達が運搬する品目に積載不可のものが含まれていないか、あらかじめ確認しておきましょう。
過積載に注意する
産廃をダンプで運ぶ場合は、過積載に十分注意しましょう。経費削減を目的として、定められた積載量を超過して運搬する「過積載」が問題となっています。過積載は、横転などによって重大な事故に繋がるばかりでなく、走行する道路に損傷を与えるリスクが高くなります。道路の損傷は、結果として事故を誘引する可能性が高くなるため、きちんと定められた積載量を守るようにしましょう。
また、過積載が車両にダメージを与え、予期せぬ故障を誘発することも考えられます。 もちろん、過積載には法律による罰則が設けられていることから、積載量をきちんと確認するようにしましょう。