アームロールによるコンテナや重機の運搬について

アームロールによるコンテナや重機の運搬について

「アームロール車」はコンテナ(荷台)を着脱できる機能を有するトラック車両のことを指します。「アームロール」という名称は、主要メーカーである新明和工業社の商品名であり、それが広まって一般的にもそう呼ばれるようになっています。

他にも、極東開発株式会社の呼び名である「フックロール」、イワフジ工業社の呼び名である「ロールオン」、ヒアブ社の呼び名である「マルチリフト」等がありますが、機能の内容をそのまま表して「脱着ボディ車(または脱着ボディシステム車)」という呼び名が正式名称となります。

コンテナの回収や運搬、重機の回送などで非常に活躍する車両であり、建設現場や産廃処理現場にて特に多く使用されています。

アームロール車の特徴

一番の特徴として、トラックのシャーシ(コンテナを載せる部分)に大きなアームが装備されています。

アーム先端にはフックがついており、フックにコンテナの取っ手等をひっかけ、アームで引き上げることによってシャーシ上に積載したり、シャーシから降ろしたりすることが可能です。

アームの操作とコンテナ積み下ろし

コンテナの積み下ろしは、リモコンでアームを操作することよって実施します。

リモコンにはアームを操作するためボタンがついており、標準的なコンテナ以外にも、土砂用コンテナやタンクコンテナ、重機を載せるためのフラットデッキコンテナなど、色々な種類のコンテナを積載することが可能です。

ケーブルが長いタイプなら、見通しの悪い場所等でもキャブの外へ出てアームを操作することが可能です。

アームロールにコンテナを載せる際の注意点

例えば、産業廃棄物の回収や運搬業務において、満タンになったコンテナと空のコンテナを入れ替える際に、アームロールにコンテナを引き上げる作業が頻繁に起こります。そういった作業における注意点について説明します。

まず、周りに人や障害物がないか確認したうえで作業を開始します。また、作業対象のコンテナの扉が閉まっていることも確認しておきます。※扉が開いたままで作業をすると、開いた扉が他所にぶつかったり、荷が落ちてしまいます。

アームロール操作には慣れが必要なので、慣れない場合は無理をせず、誘導をあらかじめ頼んでおくと良いでしょう。

アーム作業を開始するには、PTO(パワーテイクオフ)を起動させる必要があります。PTOとはエンジンの回転を油圧動力に切り替える仕組みで、アームロールの場合はアームを動かすために必須となります。

クラッチを切った状態でPTOのスイッチを入れ、クラッチからゆっくり足を離すようにしましょう。PTOを起動させたら、アクセルを踏んでエンジンの回転数を1500~2000程度まで上げます。

PTOを起動させたら、リモコンでアームを下ろした状態にし、車両をバックさせてコンテナの取っ手にアーム先端のフックを引っ掛けます。アーム先端のフックがコンテナの取っ手にしっかりかかっていることを確認したうえでリモコンのアーム引き上げボタンを押します。

この際、コンテナ底面が車両シャーシ上に正しく載っていることを確認しましょう。適正に載せられていないと、コンテナ落下等の危険性が生じます。

アームロールに重機を載せる

アームロールは建設現場で使用する小型建機などの重機を運搬することも可能です。重機を運搬するための座布団として、重機運搬に適したコンテナを使う必要がありますが、大まかな流れは上記コンテナの引き上げと同様です。

まずは載せる対象となる重機を動かします。ぶつけてコンテナのアオリ等を破損させたりしないよう慎重に運転し、コンテナ上で停車させます。また、コンテナから重機部分がはみ出したり、左右のバランスが悪くならないよう、重機の位置や可動部を調整します。

以下の動画はオペレーション目線で引き上げ作業を見ることができるので、実際に作業に従事される方にとって参考にしていただけると思います。

事故に注意

注意しなければならないのは、車両を動かす際のオーバーハング。オーバーハングとは、車両の後輪よりも後方にはみ出した部分のことです(リアオーバーハング)。 アームロール車においては、アームを下げた状態で車両を動かしてしまうと、オーバーロールによって思わぬ事故が起こる可能性があります。

慣れない場合や十分なスペースが確保できない場合は、無理をせずアームを水平に引き上げてから車両を動かすようにしましょう。

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