土砂と汚泥の違いって?

土砂と汚泥の違いって?

建設現場において掘削工事に従事する方のなかには、工事によって生じた建設副産物が土砂なのか、それとも汚泥(建設汚泥)か、判断に迷われたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか?

土砂については、廃棄物処理法上の廃棄物ではないとされています。一方で、事業活動に伴い発生した汚泥は、“産業廃棄物”として処理しなければなりません。生じた建設副産物がどちらにあたるのか判断を間違えると、重たい罰則を受ける結果にもつながりかねません。

土砂(廃棄物に該当しない)なのか、汚泥(廃棄物に該当する)なのか、違いをどのように考えて判断するべきなのでしょうか。

廃棄物に該当しないものとは?

関連通知によると、以下のものは廃棄物に該当しないとされています。

● 港湾、河川等のしゅんせつに伴って生ずる土砂その他これに類するもの

● 漁業活動に伴って漁網にかかった水産動植物等であって、当該漁業活動を行なった現場附近において排出したもの

● 土砂及びもっぱら土地造成の目的となる土砂に準ずるもの

上記について噛み砕いて説明すると、「土砂」そのものはもちろん、「土砂に準ずるもの」も廃棄物処理法の対象となる廃棄物には該当しないということです。 ただし、土砂と汚泥の混合物の場合は、土砂と廃棄物の混合物となるため、土砂として取り扱うことはできません。土砂として取り扱うには、土砂と廃棄物を分離し、土砂の部分だけを取り出す必要があります。

土砂と汚泥の判断

土砂なのか汚泥なのかを判断するにあたって、判断するタイミングや判断基準を知っておく必要があります。

判断のタイミング

工事現場(工区等)から搬出される段階ではなく、「一体の施工システム」から排出された時点で土砂なのか汚泥なのかを判断します。

「一体の施工システム」とは、掘削に必要不可欠な一連の工程のことを指します(排出されたものを加工する工程は含まれない)。

つまり、汚泥の固化や脱水、添加剤不可などの工程は含まれないことになります。 以下に代表的な掘削工法における一体の施工システムと判断について載せておりますので、ご参考ください。

↑ 汚水シールド・リバースサーキュレーション工法など

↑ アースドリル工法など

↑ SMW工法など

判断の基準

まずポイントとなるのは、含水率です。

含水率が高く、粒子が微細で泥状となっているものは汚泥として取り扱わなければなりません。 具体的には、標準仕様のダンプトラックに山積みできないもので、積載物の上を人が歩けないような流動性のある状態のものが汚泥です。数値でいうと、以下の2項目のいずれかに該当するものとなります。

1:コーン指数が200kN/㎡以下のもの

2:一軸圧縮強度がおおむね50kN/㎡以下のもの

※コーン指数・・・コーンペネトロメーターという測定機械を土中に押し込む際の抵抗の強さです。コーン(円錐)状のロッド先端部を押し込む際の抵抗から算出したコーン断面積当たりの貫入値を指します。

一軸圧縮強度・・・側圧が無い状態で圧縮荷重を掛けたときの強度です。

ただし、ダンプ等に積載するタイミングでは上記のような状態でなくても、運搬中の練り返しによって上記の泥状となってしまうものは汚泥として取り扱う必要があります。

なお、以下に該当するものは、水分を除去することで含水率を簡単に下げることができるので、土砂として取り扱うことができます。

・直径74μm超の粒子を95%以上含む掘削物に対して、ずり分離※などによって流動性を呈さないようにしたもの

・有害物質を含まず、生活環境の保全上支障のないもの

※ずり分離・・・泥水として流体輸送したものを再び土砂分と水とに分離して、ずりを取り出し処理すること。

本記事について

廃棄物処理法は、ただでさえ解釈が難しいのに加え、改正などによってさらに難解になっています。本記事を廃棄物管理担当者として従事する皆様の実務にお役立ちいただけますと幸いです。※こちらをクリックいただけますと、記事一覧がご覧いただけます。

ただし、都道府県によっては条例や規則、指針などを上乗せ・横出し制定している場合がありますので、自治体担当課等に確認を取ったうえで、最終的な判断を行うようにしてください。

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