フォークリフトを業務で使っている人にはお馴染みの作業である自主点検(検査)。これは、労働安全衛生規則によって義務化されています。
これを実施しないと、法令違反となって罰せられたり営業停止になる可能性が出てきますし、何より点検・整備不良によって大きな事故につながる恐れが出てきます。
法令によって定められている3つの点検義務
労働安全衛生規則では、フォークリフトを使用する事業者に対して以下の3つの検査が義務づけられています。これらの検査で異常を認めたときは、直ちに補修その他必要な措置を講じなければなりません(第百五十一条の二十六)。
また、年次点検、月次点検、始業前点検は、それぞれ個別に行う必要がります。例えば、始業点検の実施をもって月次検査の代わりとすることは認められません。
①年次検査(特定自主検査)
1年を超えない期間毎に1回、有資格者が自主検査(年次点検)を行なうことが求められています。この検査は、資格を持った事業内検査者または、検査業検査者でなければ実施できません。
労働安全衛生規則(第百五十一条の二十一)
事業者は、フオークリフトについては、一年を超えない期間ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一年を超える期間使用しないフオークリフトの当該使用しない期間においては、この限りでない。一 圧縮圧力、弁すき間その他原動機の異常の有無
二 デフアレンシヤル、プロペラシヤフトその他動力伝達装置の異常の有無
三 タイヤ、ホイールベアリングその他走行装置の異常の有無
四 かじ取り車輪の左右の回転角度、ナツクル、ロツド、アームその他操縦装置の異常の有無
五 制動能力、ブレーキドラム、ブレーキシユーその他制動装置の異常の有無
六 フオーク、マスト、チエーン、チエーンホイールその他荷役装置の異常の有無
七 油圧ポンプ、油圧モーター、シリンダー、安全弁その他油圧装置の異常の有無
八 電圧、電流その他電気系統の異常の有無
九 車体、ヘツドガード、バツクレスト、警報装置、方向指示器、灯火装置及び計器の異常の有無
年次検査については、上記検査内容に加えて、以下の義務も課せられています。
労働安全衛生規則(第百五十一条の二十三)
事業者は、前二条の自主検査を行つたときは、次の事項を記録し、これを三年間保存しなければならない。一 検査年月日
二 検査方法
三 検査箇所
四 検査の結果
五 検査を実施した者の氏名
六 検査の結果に基づいて補修等の措置を講じたときは、その内容
労働安全衛生規則(第百五十一条の二十四の5)
事業者は、フオークリフトに係る自主検査を行つたときは、当該フオークリフトの見やすい箇所に、特定自主検査を行つた年月を明らかにすることができる検査標章をはり付けなければならない。②月次検査(特定自主検査)
月に一度、以下の検査を実施することも定められています。※月次検査は、年次検査のような資格を持った方でなくても検査できます。
労働安全衛生規則(第百五十一条の二十二)
事業者は、フオークリフトについては、一月を超えない期間ごとに一回、定期に、次の事項について自主検査を行わなければならない。ただし、一月を超える期間使用しないフオークリフトの当該使用しない期間においては、この限りでない。一 制動装置、クラツチ及び操縦装置の異常の有無
二 荷役装置及び油圧装置の異常の有無
三 ヘツドガード及びバツクレストの異常の有無
③始業点検
フォークリフト作業を開始する前には、自主検査を行うよう法令で求められています。こちらも、月次検査と同様、点検資格がない方でも実施できます。
労働安全衛生規則(第百五十一条の二十五)
業者は、フオークリフトを用いて作業を行うときは、その日の作業を開始する前に、次の事項について点検を行わなければならない。一 制動装置及び操縦装置の機能
二 荷役装置及び油圧装置の機能
三 車輪の異常の有無
四 前照灯、後照灯、方向指示器及び警報装置の機能
まとめ
フォークリフトを長く使い続けるために、日ごろから小まめに点検することが大切です。年次点検については資格を持った事業内検査者または検査業検査者でなければ実施できませんが、月次点検や始業点検は資格をお持ちでない方でも、点検の実施が認められます。重大な事故を起こさないためにも、義務となっている点検はしっかりと実施しておくことが重要です。