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減価償却とは、固定資産を使用可能期間にしたがって分割して費用を計上することです。この減価償却を利用できる年数のことを耐用年数といい、フォークリフトも耐用年数が設定されています。
そもそも減価償却って?
金額の高い固定資産(原則10万円以上)を購入した際、購入した年に一度に経費として計上するのではなく、分割して少しずつ計上するルールのことを減価償却と呼びます。
上記ルールは、設備や装置、器具・備品など、使用時間の経過とともに価値が減少するとされる固定資産(減価償却資産)が対象となり、基本的には一度に経費として計上することはできません。
フォークリフトについても、稼働する期間が長いほど劣化して資産価値が減っていきますので、減価償却のルールに則って会計処理をすることになります。
例えば、200万円のフォークリフトを購入した場合、買った年に200万円すべてを経費として計上するのではなく、今年は50万円、来年は50万円、その次の年は50万円といったような形で、分割して経費計上するということになります。
この考え方が必要となる理由は、毎年の利益を正確に計上するためです。減価償却資産の場合、長期にわたって使用していくものであるため、取得した年の経費として総額計上してしまうと、利益との対応関係が分からなくなってしまいます。
たとえば、利益が300万円の会社において、仮に200万円のフォークリフトを購入した年に購入費の総額を一度に経費として計上したとすると、購入した年の利益が200万円減った形で100万円と計上されるため、売上と経費のバランスが悪くなります。利益が目減りして見えるため、例えば銀行融資の査定においても影響を受ける可能性が出てきます。
耐用年数とは
耐用年数とは、減価償却資産が使用可能とみなされる期間のことです。
耐用年数は資産の種類ごとに定められており、定められた耐用年数に応じて、費用の計上や仕訳を行っていくことになります。 そのため、フォークリフトの減価償却においても、耐用年数を間違わないように注意して会計処理を行う必要があります。
フォークリフト等の重機においても、会計上の「耐用年数」という言葉は、実際の使用に耐える年数のことではなく、税法上の「減価償却資産の耐用年数に関する省令」に定められている耐用年数を指します。
物流機器の法定耐用年数ってどのくらい?
物流業界で使用される代表的な物流器具は、下記のようなものがあります。ちなみに、物流機器の法定耐用年数は、繊維工業用設備や食料品製造業務用設備などの資産区分によって分かれています。
実際の物流機器などの法定耐用年数を確認する場合は、国税庁の資料や税務署に確認しましょう。
・パレット:法定耐用年数の定め無し
・ラック:陳列棚の場合は8年、保管棚の場合は15年
・ハンディーターミナル:5年
・簡易リフト:17年
フォークリフトやハンドリフトについては以下で紹介します。
フォークリフトの耐用年数
減価償却資産の耐用年数に関する省令には、以下のとおり定められています。
・構造または用途→前掲のもの以外のもの
・細目→フォークリフト
・法定耐用年数:4年
ハンドリフトの耐用年数
減価償却資産の耐用年数に関する省令には、以下のとおり定められています。
・構造または用途→前掲のもの以外のもの
・細目→その他のもの
・法定耐用年数:4年
フォークリフトなどの物流機器の法定耐用年数を確認するメリットはある?
法定耐用年数を把握しておくことで、様々なメリットがあります。
費用を分割して計上することが可能
減価償却とは?の部分で説明しましたが、減価償却を行うメリットは取得する金額を法定耐用年数に合わせて毎年費用計上できます。
減価償却分だけ利益を減らすことができるため、毎年の法人税額を抑えられる可能性もあるということを覚えておきましょう。
安全の確保に繋げられる
フォークリフトなどの物流機器の寿命と法定耐用年数は異なるのですが、本来の役割を果たすとされる期間によって定められています。
法定耐用年数を確認して定期的にメンテナンスや買い替えをすれば、不具合や故障によって業務が停止するリスクを回避できます。
省エネ化が進む可能性も
フォークリフトやハンドリフトなどの物流機器は、法定耐用年数よりも長く使えますが、使用環境や使用状況などによっては性能が落ちてしまうでしょう。また、デジタル化された製品の場合は、新型の方が機能性が充実し、省エネ化が進む可能性もあります。
法定耐用年数に応じてメンテナンスや買い替えを検討する方が、業務の効率化につながる可能性もあるでしょう。
フォークリフトの減価償却費の計算
減価償却費の計算方法としては、「定額法」と「定率法」の2通りがあります。
定額法の場合は、毎年同じ額を費用に計上するため計算がしやすく、資金計画も立てやすいというメリットがあります。
また定率法の場合、購入した最初の年度にたくさん減価償却費を計上することができるため、購入直後の利益を下げて計上することができます。
定額法の計算方法
定額法の計算方法は以下のとおりになります。
200万円のフォークリフト新車を購入した場合を定額表で計算してみようと思います。
・事業年度→1月1日~12月31日
・事業供用日(対象減価償却資産の使用を開始するに至った日)→2021年3月3日
・定額法償却率→1÷耐用年数4年=0.25
取得年(事業用に使い始めた年度)は月割りで計算します。
今回の例でいうと、事業供用日が事業年度の途中である3月3日となっており、その年の年度末である12月末の1年分の減価償却費を求めるため、3月~12月(10ヶ月)の月割りで計算します(少し計算が面倒になるので、事業供用日は期のはじめの日となるよう購入したほうが会計上は楽になりますね)。
上記の計算式にあてはめると、
年度 | 減価償却費 | 期末簿価 |
---|---|---|
初年度 | 416,666円 | 1,583,334円 |
2年度 | 500,000円 | 1,083,334円 |
3年度 | 500,000円 | 583,334円 |
4年度 | 500,000円 | 83,334円 |
5年度 | 83,333円 | 1円 |
定率法の計算方法
定率法の計算方法は以下のとおりになります。
耐用年数4年の場合における定率法の償却率は0.5となりますので、上記と同様の仮定で計算すると、以下の通りになります。
年度 | 減価償却費 | 期末簿価 |
---|---|---|
初年度 | 833,333円 | 1,166,667円 |
2年度 | 583,333円 | 583,334円 |
3年度 | 291,667円 | 291,667円 |
4年度 | 291,666円 | 1円 |
※4年目については、帳簿価額が1円になるまでの金額が減価償却費となります。
中古車両を購入した場合の計算は?
中古車の場合、計算に使う耐用年数が新品の考え方とは異なってきます。
パターンA:法定耐用年数の全部を経過した資産の耐用年数→その法定耐用年数の20%に相当する年数
パターンB:法定耐用年数の一部を経過した資産の耐用年数→ その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数
ちなみに、3年落ちのフォークリフトの場合は上記パターンBとなり、耐用年数は以下のとおりとなります。
ただし、耐用年数については、1年未満の端数は切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とするルールとなりますので、この場合は2年として計算します。
なお、一般的な中古フォークリフト市場においては、ほとんど場合パターンAに該当するので、法定耐用年数4年×20%=0.8年となり、さらに上記ルールが適用されて結局耐用年数は2年として計算することになります。
・事業年度→1月1日~12月31日
・事業供用日(対象減価償却資産の使用を開始するに至った日)→2021年3月3日
上記仮定のもと、5年落ちの中古フォークリフトを150万円で購入したとすると、定額法の場合は以下となります。
年度 | 減価償却費 | 期末簿価 |
---|---|---|
初年度 | 625,000円 | 875,000円 |
2年度 | 750,000円 | 125,000円 |
3年度 | 124,999円 | 1円 |
定率法の場合は、以下となります。
年度 | 減価償却費 | 期末簿価 |
---|---|---|
初年度 | 1,250,000円 | 250,000円 |
2年度 | 249,999円 | 1円 |
法定耐用年数ではなく、実際の耐用年数は?
フォークリフトの車両自体の耐用年数は、メンテナンス状態にもよりますが、おおよそ15年と非常に長いです。ただし、電動フォークの場合は、バッテリー寿命が5~6年程度ですので、新車から車両寿命まで乗り続けるとした場合、1台の車両につき3回前後バッテリー交換が必要になります。
そのため、バッテリー交換はリーズナブルな方法で済ませたいところ。 当社では「GB Traction Battery」をイチオシしており、高品質&格安なバッテリー交換を提案しております。興味のある方は、こちらの記事から詳細をご確認ください。