フレキシブルコンテナバッグは、様々な種類の粉粒を一度に大量に輸送・保管するのに便利な大型の袋です。フレキシブルコンテナバッグという呼び名以外にも、フレコン、コンテナバッグ、産廃袋、クロスコンテナバッグ、トン袋、トランスバックなどと呼ばれたりします。また海外ではFlexible Container Bags(FIBC)やJumbo Bagという名称で流通しています。
容量は1立方メートル・最大耐荷重約1トンのものが主流です。
ビニール袋による運搬だと破れてしまったり、重たい場合に持上げ作業ができなかったりしますが、フレキシブルコンテナバッグは丈夫な素材で作られているので、作業効率アップやコスト削減ができ、様々な用途に使用できます。
また鉄製のコンテナと比べると遥かに価格が安く、また「フレキシブル」という名が示しているとおり、未使用時には折り畳みができるので保管スペースの省略につなげることもできます。
今回はフレキシブルコンテナバッグについて、全般的に紹介したいと思います。「普段何気なく使っているフレコンだけど、こんな特徴があるんだ・・・」「今まで使ったことが無かったけど、これならウチの事業でも使えるかも!」という発見があるかもしれません。
フレキシブルコンテナバッグの特徴
フレキシブルコンテナバッグの歴史は古く、最初に使われ始めたのは1940年代のヨーロッパ。日本では昭和30年代に本格的に使用されるようになり、以降、さまざまな現場の物流運搬資材として広く使われるようになりました。
構造について
フレキシブルコンテナバッグは、投入口付の袋部分と、フォークリフトなどで持ち上げるための吊り部分で構成されています。
袋部分は、大きく分類すると丸型と角型の2種類があります。日本における主流は丸型ですが、角型タイプは保管時に形が整いやすく、丸型に比べて安定しています。
作業効率を上げるために、ひっくり返すことなく内容物を排出するための排出口が底部についているタイプや、ひっくり返し作業に便利な取っ手(反転ベルト)が底部についているタイプもあります。
他にも、衛生管理が必要な食品を入れたり、微粉末、汚れものなどを入れるために、内袋が付属したタイプもあります。この内袋によって、微粉末が縫い目から漏れることを防止したり、湿気を防止したりします。
内容物が無い場合にフレコンを自立させるためにはフレコンスタンドを使ったりしますが、スタンド無しでも自立できる程の剛性を持たせたタイプもあります。
素材について
フレキシブルコンテナバッグの材質は化学繊維のものがほとんどです。ポリプロピレン(PP)とポリエチレン(PE)が使われているものが主流になっています。
ポリプロピレンは汎用樹脂の中で、高い耐熱性(120℃~130℃ほど)があり、比重が最も小さくて水に浮かぶという特徴があります。比較的強度が高く、成型加工もしやすく、吸湿性が無いといった特長があり、フレキシブルコンテナバッグのような形状・用途の商品に適した素材といえます。
ポリエチレンはポリプロピレンと共通する特徴も多いですが、ポリプロピレンよりも柔らかく吸水性が低いという特徴があります。
これらの特徴をふまえて、本体部分で強度を必要するところにはポリプロピレン、 内袋や飛散防止カバーなど柔からさを必要とするところにはポリエチレン、縫製糸にはポリエステルが使われたりします。
ただし、ポリプロピレンは対候性が比較的低いという特徴があり、屋外で使用すると紫外線によって変色したり変形・劣化したりします。UV対策がされていないフレキシブルコンテナバッグは安価ですが、直射日光にさらされた状態だと1カ月ほどで強度劣化が始まります。
そのため、紫外線劣化防止剤を添加した生地を使用しているものも多く出ており、UV耐性の強度に応じて生地グレードが分かれています。
たとえば、こちらの商品の場合、国土交通省河川局が推奨する「耐候性大型土のう」設置ガイドライン準拠の素材を使用しており、紫外線照射時間1200時間以上で残存率80%以上という耐性をもっています(※物性は測定値であり、保障値ではありません)。
生地について
一度使用されたポリプロピレン樹脂を再度溶融し、リサイクルしたものをリサイクルPP樹脂と呼びます。性能が安定しているバージンPP樹脂(新品樹脂)と比べると性能が安定しません。
もちろん、バージンPPのほうがリサイクルPPよりも高価になります。 リサイクルPPで作られたフレキシブルコンテナバッグは、バージンPP製と見分けがつきにくいですが、バージンPPはツヤがあって柔らかい一方で、リサイクルPPは色がくすんでいて感触が硬い特徴があります。
リサイクル樹脂とバージン樹脂を使い分けて、生地のグレード別に商品を分けているメーカーもあります。強度劣化を考慮しなくてもよい用途の場合は、安価なグレードの生地を使用したタイプを選択するのも良いでしょう。
他にも、特殊加工品として、充填時の静電発生を防ぐために、内袋或いは外袋に静電防止剤混練レジンで加工していたり、引火性の高い物質を充填することを想定して導電性加工を施しているタイプもあります。
フレキシブルコンテナバッグの用途
フレキシブルコンテナバッグは建設現場だけでなく、穀物や根菜、飼料、肥料、土砂、粒状の製品原料、製造工程で発生する廃棄物など幅広い分野で使われています。 用途を大まかに分けると、運搬と保管の2つになります。
運搬
吊り部分(ベルトやロープ)がついているので、フォークリフト・クレーンフック・バー等で吊り上げることによって運搬できます。
保管
屋内ではなく、屋外での保管も可能です。前述のとおり、素材となるポリプロピレンは対候性が比較的低いので、屋外保管の場合は用途に応じたUV対策がなされたタイプを選択しましょう。
運搬・保管のいずれの場合も、使い方としては、まず使用前に外観異常がないかチェックします。特に、荷重がかかるベルト位置については、縫製異常や擦り切れがないかよく確認しておきます。
持上げ・運搬の際は、フォークリフト、クレーンフック、バー等の装置において、フレキシブルコンテナバッグと接触する部分に鋭利な部分がないことを予め確認しておきましょう。
充填・保管の際は、最大耐荷重や充填温度を超えないようにしてください。また、持ち上げられたフレキシブルコンテナバッグの下に立ったり、物を置かないようにして下さい。
JIS規格について
フレコンバッグにはJIS規格(JIS Z 1651:2017)が定められており、1回使用のみのクロスタイプ、洗浄して繰り返し使用可能なランニングタイプがあります。まとめ
フレキシブルコンテナバッグは重たいモノを運ぶ容器になるので、場合によっては怪我や事故のおそれが出てきます。様々な用途の使用を想定して多種多様な商品が販売されていますが、前述の内容を知っておくと適切なものを選択しやすくなるのでは無いでしょうか。
当社でもフレキシブルコンテナを取り扱っていますので、興味のある方はこちらのフォームからお問合せください。