フォークリフトのバッテリー容量の見方

フォークリフトのバッテリー容量の見方

電動フォークリフトに搭載されているバッテリーは、車種ごとに容量が異なります。搭載されているバッテリーの容量を確認するには、バッテリーケースに貼付されている銘板を見ます。

銘板の見方

銘板写真

上の写真を例にとって見てみましょう。

こちらは、トヨタのリーチ車両に搭載されているGSユアサ社製の48Vバッテリーの銘板になります。※メーカーによって表示方法が異なる場合があります。

銘板の貼付位置は、カウンタータイプではバッテリーケースの前方(運転席の足元付近の位置あたり)に貼付されている場合が多いですが、本体側面のカバーで隠れている場合もあります。 リーチタイプの銘板はバッテリーケースの側面や前面にありますので、例えばsバッテリーケースのフロント引出し(前出し)タイプの場合は前にスライドをさせて確認します。

①バッテリー製造メーカー

GSユアサ社をはじめ、新神戸電機、古河電池販売など様々なメーカーのものがあります。 フォークリフト業界によくある話ですが、合併等によって製造当時と現在のメーカー名が異なる場合もあります。※新神戸電機は2016年に日立化成に吸収合併、日立化成は2020年に昭和電工の連結子会社となっています。

②バッテリー型番

バッテリーの型番も銘板に表記されています。型番も重要な情報であり、たとえば車両メーカーからバッテリーのリコールが発表された場合など、型番をもとに対象かどうかを確認します(最近のリコール事例)。

③バッテリー電圧

なおフォークリフトのバッテリーは2Vのセルが連結されて搭載されています。例えば48Vのバッテリーであれば12個のバッテリーセルが搭載されています。

各セルの電圧を実測すると通常は2.0~2.1V前後となりますが、バッテリーがへたってくると、電圧が低いセルが出てきて、各セル電圧のバラつきが大きくなっていきます。これによって、本来の電圧を出せず、フォークリフトの能力が低下します。

④バッテリー容量

バッテリー容量は放電容量とも呼ばれ、満充電の状態から0%となるまでに放出される電気の量を指します。容量が大きいほど、多くの電気を蓄えられるバッテリーということになります。 冷蔵庫で稼働させる車両や、長時間稼働、重量物を運搬する車両の場合は容量が大きいバッテリーが搭載されることが多いです。

バッテリー容量の単位について

上記の④容量には、AhとHRが併記された単位が使われています。この単位について説明します。

まず、Ahというのは「アンペアアワー(Ampere-hour)」と呼び、A(アンペア)は電流、 h(アワー)は時間を示します。Ahは電流と時間の積であり、Ah = 電流(A) × 時間(h)となります。

またHRとは「アワーレート(Hour Rate)」と呼び、時間率を指します。完全充電したバッテリーを容量の[時間率]分の1(5時間率の場合は1/5)の電流で放電するという意味合いになります。

例えば、上記写真のように「280Ah 5HR」と表記されている場合は、容量280Ahの1/5である56A(280Ah÷5)の電流で放電したとき、5時間後に放電終止電圧に達するということになります。要は、満タンに充電した場合、56Aの電流を5時間放電する能力があるバッテリーということです。

また上記の銘板には291Ah 6HRとも記載されていますが、これは48.5A(291Ah÷6)の電流であれば6時間放電するという意味合いになります。

例えば、①280Ah 5HRと②300Ah 5HRの2つを比較するとした場合は、当然②のほうが容量が大きく長持ちするということになります。 また、①280Ah 5HRと②280Ah 6HRの2つを比較すると、①のほうが時間あたりに流すことができる電流が大きくなりますので、①のほうが容量が大きく長持ちするということになります。

上記の単位でバッテリー容量を表すようJIS規格で定められており、フォークリフトバッテリーの場合は5時間率容量が表記されることがほとんどです。

⑤バッテリー重量

フォークリフトは重量物を運ぶため、車体の前後バランスが重要です。前方のツメに重たい荷物を乗せても前のめりにならないよう、バッテリーがウエイト(重り)としても役割を果たします。例えば、48Vのバッテリーだと500kg前後の重さがあり、かなりの重量物です。

まとめ

バッテリー銘板はバッテリーの仕様が記載されている重要なものです。バッテリー交換の際などには、必ず確認が必要になります。上記を参考いただき、正確な内容を確認するようにしましょう。
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