フォークリフトのエンジンがかからないときに知っておきたい原因と対策

フォークリフトのエンジンがかからないときに知っておきたい原因と対策

フォークリフトのエンジンがかからないと、作業現場での安全性や効率に大きな影響が及びます。日常業務を円滑に進めるためにも、早期に原因を見極めて適切な対応を取る必要があります。本記事では、初心者にもわかりやすくトラブルシューティングのポイントをまとめています。

基本的なエンジン始動の手順をはじめ、エンジンがかからないよくある原因、そして自分でできる簡易的な対処法まで幅広く解説します。さらに、困ったときに専門家へ相談するときのコツも紹介するので、いざというときに役立つ知識が身につくでしょう。ぜひ最後までチェックしてみてください。

フォークリフトの基本的なエンジン始動手順

フォークリフトはディーゼル車とガソリン(LPG)車で始動手順や注意点が異なります。それぞれの特徴を押さえて、正しく始動しましょう。

ディーゼル車の場合はバッテリーの状態やグローランプの点灯を必ず確認してから始動を行うのが基本です。一般的にグローランプが消えるまで待ってからセルを回し、もしエンジンがかからない場合は一度イグニッションをOFFに戻して再度試す方法が推奨されています。また、極端に寒い環境下ではグロー時間を十分に確保し、燃焼効率を高めることでスムーズにエンジンが動きやすくなります。

ガソリン(LPG)車の場合は、ディーゼルと異なる点としてチョークの使い方やアクセルペダルの踏み込み量が重要となります。寒冷時は適切にチョークを引き、初爆を感じたら少しずつ戻すことでエンジンの回転を安定させやすくなります。また、LPG車の場合は燃料ボンベのバルブも正しく開いているかチェックすると、燃料不足によるエンジントラブルを防ぐことができます。

ディーゼル車の始動のコツ

ディーゼルエンジンでは、グローランプが消灯したタイミングが適切な始動の合図になります。セルを長時間回しすぎるとバッテリーに負担がかかり、エンジンがかかりにくくなるので、10秒程度で一度区切りをつけることが大切です。複数回試しても始動しない場合は燃料系統のエア抜きやバッテリーの状態を点検し、必要であれば専門家に相談しましょう。

ガソリン・LPG車の始動のコツ

ガソリン車やLPG車では、適切なチョークの使用とアクセルペダルの角度がエンジン始動の重要なポイントです。特に寒冷時には、最初にチョークを引き気味にしてセルを回し、始動音が安定してきたら徐々にチョークを戻すとスムーズにかかりやすくなります。ボンベ式のLPG車の場合は、燃料残量やボンベのバルブが確実に開いているかも併せて確認すると良いでしょう。

よくあるエンジンがかからない原因

エンジンがかからない背景には様々な要因があります。下記の原因を把握し、対処を検討しましょう。

フォークリフトが始動しないケースでは、燃料切れのようにシンプルな原因から、スターターモーターや電子制御機能の故障など専門的な問題まで幅広く考えられます。特にOPS(着座感知装置)のように安全機能が働いていてエンジンがかからない場合もあるため、トラブルシューティングの際には複数の視点でチェックを行うことが大切です。問題を早めに特定すれば、その分早く対処もでき、作業現場への影響を最小限に抑えられます。

また、バッテリーの電圧が低下しているとセルの回りが弱くなり始動しづらくなりますし、長期間放置されていた車両では燃料の劣化も疑う必要があります。運転者が気付かないうちにシフトレバーの位置がずれている場合や、小さな配線トラブルが原因になることもあるため、まずは基本的なチェック項目をきちんと洗い出すことが重要です。

1. 燃料切れ(ガス欠)の可能性

燃料タンクのガソリンやディーゼル、LPGボンベの残量が少ないとエンジンは始動できません。ディーゼル車の場合は燃料ライン内に空気が混入していると燃料噴射がうまくいかず、結果としてエンジンがかからないことがあります。早急に燃料を補給し、必要に応じてエア抜きを行うことが対処の第一歩です。

2. シフトレバーの位置がニュートラルではない

フォークリフトには安全装置として、シフトレバーがニュートラルの位置でないとエンジンがかからない仕組みがあります。作業後にレバーをパーキングやリバースのままにしていると、いくらセルを回してもエンジンは始動しません。エンジンがかからないときは、まずレバーの位置を確かめる癖をつけましょう。

3. バッテリーやプラグの不具合

バッテリーが上がっているとセルを回す力自体が不足し、フォークリフトの始動が難しくなります。また、ガソリン・LPG車ではスパークプラグの劣化や汚れで点火性能が低下している場合も少なくありません。定期的にバッテリーの電圧やプラグの状態をチェックし、必要があれば交換を行うことがトラブル防止に役立ちます。

4. OPS(着座感知装置)の影響

作業者がシートに正しく着座していないと、OPS(Operator Presence Sensing)という安全装置がエンジンの始動をロックする設計になっています。座りが浅かったり、体重がかかっていない場合はセンサーが反応しにくくなることがあります。エンジンがかからないときはシートにしっかり腰を下ろし、安全装置が正常に作動していることを確認しましょう。

5. 長期間使用していない場合

車両を長期間使わずに放置していると、バッテリーの自然放電や燃料の劣化が進んでエンジン始動が難しくなります。ディーゼル車の場合は燃料系統への空気混入も起こりやすく、エア抜き作業が必要になるケースが増えます。定期的にエンジンをかけて動作状態を確認するルーチンを組むことで、いざ稼働させたいときのトラブルを減らせるでしょう。

6. スターターモーターの異常

スターターモーターそのものが故障していると、キーを回してもセルがまったく動かない、あるいは異音だけがするなどの症状に陥ります。ブラシの摩耗やピニオンギアの不具合が原因になることが多く、交換や修理を要するケースとなるでしょう。自己判断が難しい場合は専門家の診断を受けて、安全に修理を行うことが大切です。

自分でできる簡単なチェックと応急対処法

現場で突然エンジンがかからなくなると焦りますが、まずは自分で確認できることを把握して、迅速に対応しましょう。

エンジンが回らないときは、燃料ボンベや燃料タンクの残量確認、シフトレバーの位置、バッテリーターミナルの緩みなど、基礎的なチェックを行うことで原因を絞り込むことができます。目視点検の際には配線やホースが外れていないか、異常な液漏れや警告灯の点灯がないかなども確かめましょう。こうした日常点検を丁寧に行うだけでも、多くのトラブルを未然に防ぐことが可能です。

もしバッテリーが弱っていると感じたときは、ジャンプスタートを試す方法もあります。ただし、セルを連続して長く回しすぎるとバッテリーやスターターモーターへの負担が大きく、修理費用がかさんでしまう可能性があります。なるべく10秒前後でセルを止め、少しインターバルをとってから再始動を試すなどの工夫が大切です。

各部の目視点検と日常点検のポイント

燃料残量やバッテリー端子の状態、配管やケーブルの緩み・破損がないかは、日常的な点検の必須項目です。異常を早期発見し対策を講じることで、大きな故障や長期の稼働停止を防げます。特にバッテリー液の点検や補充は手間がかからないので、定期的に実施すると良いでしょう。

エンジンがかかりにくい時のセルの回し方の工夫

セルを回すときは一度に長く回しすぎるとバッテリーが急速に消耗し、モーターにもダメージを与えかねません。数秒から10秒程度を目安にセルを回しては一旦休ませるというサイクルを繰り返すと、効率的にエンジンを始動できます。特に低温下では燃焼に時間がかかるため、焦らず徐々に始動を試みることがポイントです。

修理依頼や専門家に相談する際のポイント

自己点検では原因が特定できなかったり、解決が難しい場合は専門の業者やディーラーに依頼するのが安心です。

トラブル箇所が不明なまま作業を続けると思わぬ二次被害につながる可能性があるため、無理せずプロに相談することも重要な選択肢です。フォークリフトのメーカー系ディーラーや専門修理工場であれば、一般整備工場よりも部品の在庫や専門知識に優れ、短期間での修理を行いやすい傾向にあります。修理費用については事前に見積りを依頼して、必要な作業内容を確認してから依頼するのがトラブル回避につながるでしょう。

また、修理期間の目安や代車の手配など、作業に支障が出ないように計画を立てることが大切です。専門業者がどの程度の技術力を持っているかや、アフターサポートの充実度も選ぶ際のポイントとなります。問い合わせの段階で疑問点をしっかり確認し、安心して任せられる業者を見極めましょう。

業者選びで注意したいこと・費用・期間の目安

フォークリフト専門の修理店は、メーカー純正部品の取り扱いや高い技術力を持っているケースが多いので安心感があります。費用については修理内容や部品のグレードによって変動しますが、いくつかの業者に見積もりを依頼することで相場を把握しやすくなるでしょう。修理期間や代替車両の貸し出しの有無も含めて比較し、計画的に依頼することがトラブルを最小限に抑えるポイントです。

まとめ・総括


フォークリフトのエンジンがかからない原因は多岐にわたりますが、燃料切れやシフトレバーの位置、バッテリーの状態など、基本的なチェックを行うだけでも多くのトラブルを解決または特定できます。長期間の放置やメンテナンス不足がエンジン始動不良につながるケースもあるため、定期的な点検チェックリストの活用が欠かせません。問題が大きくなる前に手当てをすれば、安全性と作業効率をしっかりと維持できます。

自身で判断が難しい場合や深刻な故障の疑いがあるときは、迷わず専門家に相談しましょう。フォークリフトは重量物を扱うため、適切な点検とメンテナンスがとりわけ重要です。日ごろから適切な運用とチェックを行っていれば、いざというときにも落ち着いて対処でき、現場の安全と生産性を保つことができます。

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