フォークリフト用バッテリーの寿命は?交換の目安やメンテナンス方法もご紹介

フォークリフト用バッテリーの寿命は?交換の目安やメンテナンス方法もご紹介

フォークリフトとは?

フォークリフトとは、車体の前方に「フォーク」と呼ばれる2本の爪を持つ荷役自動車で、重い荷物を運ぶ際に使われます。

マスト(支柱)を伸ばすことでフォークが上昇し、車体の高さよりも高い場所に荷物を移動できます。
フォークリフトは、トラックから倉庫への荷下ろしや積み込み作業、建築現場などで幅広く活躍しています。

フォークリフトの主流はバッテリー式

フォークリフトには「バッテリー式」と「エンジン式(ガソリン式とディーゼル式を含む)」の2つがあります。
一般社団法人 日本産業車両協会が5月23日に発表した、2024年4月の「フォークリフトトラック生産実績(総台数)」によると、バッテリー式の生産台数は5,492台、エンジン式の生産台数は 2,606台でした。

統計を見ると分かる通り、現在フォークリフトはバッテリー式が主流となっています。
バッテリー式フォークリフトは、ガソリン式とは違い給油が不要ですが、バッテリーが消耗する度に新品のバッテリーと交換する必要があります。
バッテリーの消耗はフォークリフトの不調に繋がりますので、バッテリーの寿命が近づいたら新品と交換しましょう。

参考:http://www.jiva.or.jp/

ガソリンや軽油とのコストやCO2排出量の比較

ガソリンや、ディーゼル式フォークリフトの燃料である軽油のコストは年々高くなっています。
また、エンジン式フォークリフトはCO2排出量が多く、環境への負担が懸念されています。 それと比べて、バッテリー式はコストが安く、CO2の排出量が少ないことも人気の理由です。

メリットの多いバッテリー式フォークリフトですが、連続稼働時間がエンジン式より短く、作業時間が長い現場ではエンジン式フォークリフトの方が選ばれています。

フォークリフト用バッテリーの寿命


フォークリフト用バッテリーには、「鉛電池式」と「リチウムイオン式」の2種類があります。
近年、鉛電池式よりも軽くてコンパクトなリチウムイオン式が注目されていますが、現状としては鉛電池式の方が多く使われています。
ここでは、フォークリフト用バッテリーの寿命について、鉛電池式のバッテリーを例にして解説します。

フォークリフト用バッテリーの寿命は約5~6年

フォークリフト用バッテリーの寿命は、製造された年月日からの経過年数ではなく、充電した回数で決まります。フォークリフトを使う環境によっても変動しますが、「放電1回+充電1回」を1つのサイクルとすると、バッテリーの寿命は1,200〜1,500サイクルとされています。
例として、バッテリーを毎日1回充電する現場では、1年に240サイクルと考えると、5〜6年でサルフェーションが発生し寿命を迎えます。

サルフェーションとは、バッテリーが放電する際に電気を通さない絶縁物質「硫酸鉛」が発生し、バッテリー内部の電極板に付着し固まる現象で、バッテリーの主な劣化原因です。

フォークリフト用バッテリーの寿命が近いときに見られる6つの症状


バッテリー式フォークリフトを使っている時に、「フォークリフトのパワーが落ちた」「稼働時間が短くなった」と感じた場合、バッテリーの寿命が近いサインかもしれません。
ここでは、フォークリフト用バッテリーの寿命が近いときに見られる8つの症状を紹介します。

バッテリーが減る時間が早くなる

バッテリーの劣化が進むと、充電してから放電するまでの時間が短くなっていきます。
例えば、フォークリフトを1時間稼働して充電が1メモリしか減らなかったところが、同じ時間稼働させて2メモリ以上減った場合は、バッテリーが劣化したと考えられます。
100%まで充電したにもかかわらず、すぐに充電が切れてしまうようであれば、バッテリーの寿命が近づいている証拠です。

100%まで充電されない

バッテリーの寿命が近くなると、いくら充電しても100%まで充電されなくなります。 長時間充電しても100%まで充電されないのであれば、新品のバッテリーと交換しましょう。

フォークリフトのパワーが落ちる

バッテリーの寿命が近づくと、バッテリーの放電する能力が低下し、フォークリフトのパワーも落ちてしまいます。
フォークリフトは、荷揚げのときにパワー不足を感じやすいです。 荷物を持ち上げるのに時間がかかり始めたら、バッテリーの劣化が進んでいると考えられます。

フォークリフトの稼働時間が短くなる

これまで、1日6時間は稼働できたフォークリフトが、2〜3時間しか稼働できなくなった場合、バッテリーの劣化が考えられます。
稼働時間が長い現場では、フォークリフトの稼働時間が短くなると作業効率が落ちるでしょう。

バッテリーの電解液が濁り始める

バッテリーの中には「電解液」と呼ばれる液体が入っていますが、電解液は透き通っています。
しかし、バッテリーの寿命が近づくと、透き通っていた電解液が濁り異物も増えてきます。 充電している最中は電解液が少し濁りますが、充電が終わって時間が経過しても濁りが消えない場合は、バッテリーの寿命が考えられるでしょう。

バッテリー周辺から異臭がする

バッテリーの周辺から硫黄のような異臭が発生することがあります。
充電している最中も独特な臭いがすることがありますが、硫黄ような臭いや刺激のある臭いを感じたら、バッテリーが劣化していると考えられます。

バッテリー本体が熱くなる

先述した通り、バッテリーの主な劣化原因はサルフェーションの発生です。 サルフェーションの影響により、フォークリフトの稼働中やバッテリーの充電中に、バッテリーの本体が異常に熱くなることがあります。

バッテリー液の蒸発が早くなる

バッテリー液(電解液)は、充電や過充電、自然蒸発などで少しずつ減っていきます。 バッテリーが劣化するとバッテリー本体が発熱するため、バッテリー液の蒸発が早くなってしまいます。
バッテリー液は補充できますが、バッテリーの劣化が進むとバッテリー液を補充してもフォークリフトの性能が低下したまま改善しません。

バッテリー液を補充してもフォークリフトの不調が見られる場合は、バッテリーの寿命が近いと考えましょう。

フォークリフト用バッテリーが劣化し寿命が縮まる5つの原因


フォークリフト用バッテリーは、充電のやり方やメンテナンス不足などにより劣化していきます。
ここでは、フォークリフト用バッテリーが劣化し寿命が縮まる5つの原因をご紹介します。

過充電した

過充電とは、100%充電できているにもかかわらず充電し続けると起きる現象のことです。 過充電は、バッテリーを劣化させる原因となります。 製品によっては、充電が終わると自動的に充電が止まる機能が備わったものもありますが、そうでないバッテリーの場合は過充電に注意しましょう。

過放電した

過放電とは、充電残量が0%の状態でありながら、さらにエネルギーを取り出そうと放電してしまう現象のことです。 バッテリーは、一定まで放電すると急激に電圧が低下し、電圧が急激に低下する値を「放電終止電圧」といいます。
放電終止電圧を下回ってしまうと、バッテリーが劣化し寿命が縮まる原因となるので注意しましょう。

短時間で充電を繰り返した

バッテリーの充電を短時間で繰り返し行うと、バッテリーが劣化する原因となります。 バッテリーをこまめに充電した方がバッテリー性能を維持できると思うかもしれませんが、実は逆効果であることを知っておきましょう。

電解液が不足していた

バッテリーの中に入っている電解液が最低ラインより減ってしまうと、バッテリーに負担がかかります。
電解液は自然に蒸発して減っていきますが補充できるため、定期的に残量を確認しましょう。

異物が付着していた

バッテリー周辺が汚れたり異物が付着していると、そこから自己放電が進み、バッテリーが劣化する原因となります。

解体現場など、汚れが出やすい現場でフォークリフトを使うと、バッテリーに汚れや異物が付着する可能性が高まるので注意してください。

劣化したフォークリフト用バッテリーを使い続ける危険性


バッテリーが寿命を迎えると、新しいバッテリーとの交換が必要です。
フォークリフトの性能低下を感じつつも、そのまま使い続けることもあるでしょう。 しかし、バッテリーが劣化したフォークリフトを使い続けると、大きな事故に繋がる恐れもあるので注意しなければなりません。
ここでは、劣化したフォークリフト用バッテリーを使い続ける危険性をお伝えします。

電気代が増える

バッテリーが劣化すると、バッテリーの充電残量が減るスピードが速くなるので、何度も充電しなければなりません。
バッテリーは電気を使って充電するため、充電回数が増えると電気代も増えてしまいます。

作業効率が落ちる

バッテリーが劣化すると、フォークリフトのパワーが落ちてしまうので、作業効率が悪くなります。 普段より荷揚げに時間がかかるだけでなく、充電の減りも早いため充電時間もかかります。
作業効率の低下は、特に素早い作業が求められる現場では大きなデメリットとなるでしょう。

発火や爆発の危険性が高まる

バッテリーが劣化したフォークリフトを使い続けると、バッテリーが爆発や破裂、発火する恐れがあります。
周囲の人や物にも被害が及ぶほどの大きな事故に繋がる可能性があるため、大変危険です。

フォークリフト用バッテリーを長持ちさせるメンテナンス方法


フォークリフト用バッテリーの交換費用は、約40〜90万円ほどと高額です。 バッテリーの交換にかかるコストを押さえるためにも、バッテリーは定期的に点検を行い長持ちさせましょう。
ここでは、フォークリフト用バッテリーを長持ちさせる4つのメンテナンス方法を解説します。

過充電を避ける

フォークリフト用バッテリーを長持ちさせるためには、バッテリーの過充電を避けましょう。 過充電を避けるためには、充電残量が30%前後になったタイミングで充電します。
充電が完了したらそのまま放置せずに、バッテリーを充電器から外して過充電を防いでください。

過放電を避ける

フォークリフト用バッテリーを長持ちさせるためには、過放電を避けましょう。 バッテリー残量が0%になった状態で放置していると過放電になります。 バッテリーの残量が20%以下にならないように充電してください。

電解液が減ったら精製水を補充する

バッテリーの内部にある電解液は、少なすぎるとバッテリーの寿命を縮めます。
また、多すぎるとバッテリー内部に錆が発生したり、火災や爆発のリスクも高まります。
そのため、バッテリーを充電する前後には必ず電解液の残量を確認し、必要に応じて適量ラインまで精製水を補充してください。
特に、気温が高い日は電解液が蒸発しやすいので、電解液が不足していないかこまめにチェックしましょう。

バッテリーの周りを綺麗に保つ

バッテリー本体やバッテリー周辺が汚れや電解液が付いていた場合は、雑巾などを使ってふき取りましょう。 砂ぼこりは、ダスターを使って吹き飛ばすと細かい部分も綺麗に掃除ができます。
毎回掃除するのが大変であれば、最低でも1〜2週間に1回はバッテリー周りを掃除してください。

フォークリフト用バッテリーは定期チェックが重要

フォークリフト用バッテリーは、使い方次第では劣化が早まります。 バッテリーの劣化は、作業効率の低下だけでなく、爆発や火災などの大きな事故を引き起こす恐れがあります。
フォークリフト用バッテリーをできるだけ長く使うためにも過充電や過放電を避け、定期チェックを行い必要に応じてメンテナンスを行いましょう。
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