バッテリーフォークリフトには電源関連のコードがあり、接続するためのコネクタ型式が車両によって異なります。
分かりにくい部分ですが、バッテリーフォークリフトを安全に稼働させるには必要な情報となりますので、搭載されているバッテリーと車両を繋ぐコネクタ、充電コードのコネクタ(電源側・車両側)について説明します。
またコネクタを交換するタイミングや、長持ちさせるためのポイントついても解説しますので、日々のメンテナンスの参考にしてください。
バッテリーフォークリフト用充電コード
フォークリフトの充電に使うコードですが、車両側に接続するためのコネクタとコンセント側のコネクタがあります。
A:車両側に接続するためのコネクタ
一般的に、泰和電器製やエスシーエス製の平型コネクタで対応できますが、車両メーカーによって適応形状が異なるため、注意しましょう。
B:コンセント側のコネクタ(プラグ)
大きく分けて200V用と100V用に分かれます。一般的には業務用の三相200Vコンセントに接続しますが、小型車両の場合は100Vコンセントに接続して充電するものもあります。
代表的な形状は、以下のとおりとなります。アンペア数で対応プラグが異なりますので、建屋側のアンペア数を事前に確認しておくようにしましょう。
20A ストレート式 |
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30A ストレート式 |
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20A ロック式 |
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30A ロック式 |
搭載されているバッテリーと車両を繋ぐコネクタ
こちらのコネクタ形状は、バッテリー交換の際に重要となります。
バッテリーフォークリフトの充電コネクタメーカーとして代表的なのが、「アンダーソンコネクタ」と「Rema connector」です。
日本ではアンダーソンコネクタが普及しており、Rema connectorはヨーロッパを中心に普及しています。両者の違いとして、ケーブルのオスメスの有無が挙げられます。
オスメスとはケーブルを挿す側(オス)と挿される側(メス)を意味しますが、アンダーソンコネクタにはオスメスがありません。一方のRema connectorではケーブルにオスメスがあり、両者の特徴的な違いといえます。
さて、日本で普及しているアンダーソンコネクタには対応電流やコネクタの色によって種類が分かれています。
代表的な種類としては以下が挙げられます。
・SB175
・SBX175
・SB350
・SBE320
・SBX350
各種類の数字は対応電流を意味します。これらの数字はコネクタ表面に印字されていますので、交換の際は必ずチェックしておきましょう。
また、各充電コネクタには灰色、青、緑、黒、赤等の色が存在し、すべてが別々の種類となっています。
例えば「SB175の灰色」と「SB175は青」では互換性がないため、充電コネクタを交換する際には品番だけでなく色の違いまで留意しておくと間違いがないでしょう。
バッテリーフォークリフトの充電コネクタの交換を考えるタイミング
バッテリーフォークリフトの充電コネクタは消耗や経年劣化によって交換が必要となってきます。では、具体的にどのような症状が確認された場合に交換を考えるべきか、事例を見ていきましょう。
1.充電コネクタに亀裂や歪みなどの異常が見られる
1つ目は、充電コネクタに亀裂や歪みなどの異常が見られる場合です。 コネクタ表面部分の亀裂や本体の膨らみは交換を考えるタイミングといえます。
またプラグやソケットに歪みがある場合も、事故につながる原因となるため早めの交換が必要です。 こうした異常は目視での確認ができるため、日頃から充電コネクタの状態を確認して早めの対処を心がけましょう。
2.充電コネクタに焼損や断線が見られる
2つ目は充電コネクタに焼損や断線が見られる場合です。
充電コネクタに焼損(焼け焦げたり溶けたりした跡)や断線が見られる場合は、ただちに使用を中止して交換を行いましょう。重大な事故につながるだけでなく、最悪の場合車両や建屋で火災が発生する原因にもなります。
合わせてコネクタ本体だけでなく、コードや端子部分にも焼損がないかを確認するようにしましょう。
3.異音がしたり充電完了までの時間が異なったりする
3つ目は、充電中にコネクタから異音がしたり、充電が完了するまでの時間が毎回異なったりする場合です。 充電の際は、ブーンという低音が聞こえますが、それ以外に充電コネクタから異音がする場合は、内部で断線したり破損が発生している可能性が考えられます。
また、「充電が完了するまでの時間が毎回異なる」「プラグを差し込んだときの接触が悪い」といった事象も充電コネクタに異常が起きている可能性があるため、早めの点検や交換を行いましょう。
充電コネクタを長持ちさせるポイント
ここまでバッテリーフォークリフトの充電コネクタの種類や交換を考えるタイミングについてご紹介しました。 最後に、充電コネクタを長持ちさせるためのポイントについて解説します。
充電コネクタの破損や断線は、日頃の取り扱い方を注意することで予防ができます。長持ちさせるためのポイントや事故を防ぐためのポイントを確認していきましょう。
ポイント1.充電コードを引っ張らない
1つ目は充電コードを引っ張らないようにすること。 充電コネクタを取り外す際にコード部分を引っ張ってしまうことがあります。この取り扱い方は断線の原因やプラグ部分の破損につながるため、行わないようにしましょう。
またコネクタを差し込む際に大きく揺さぶるようにして取り扱うと、端子の変形やコネクタの破損につながりかねません。 取り付け・取り外しの際はきちんとプラグ部分を持つようにし、丁寧に取り扱うと長持ちさせることができるでしょう。
ポイント2.充電コネクタの保管方法に注意する
充電コネクタを長持ちさせるには、保管方法にも注意が必要です。
屋外や屋根のない場所に置いてしまい、万が一コード内に水が混入してしまうと漏電や火災、感電といった重大な事故につながる恐れがあります。
また充電場所を確保する際も、屋内で雨などが当たらない場所を選ぶようにしましょう。
ポイント3.充電コネクタを床に置いたままにしない
充電コネクタの破損事故で多いのが、床に置いたままにしておいたコードやプラグを、フォークリフトで誤って踏みつけてしまう事例です。
とくに充電直後は車体側のプラグだけを外してそのまま収納せずに使ってしまうケースが多く、「うっかりコードやプラグを踏みつけてしまった…」といったケースも少なくありません。
バッテリーフォークリフトの車体重量は1トンを軽く超えるため、コードの断線やプラグが破損につながります。 こうした事故を予防するために、充電コネクタを使用しないときは、専用のコードリールや壁掛けタイプのケーブルホルダーを使用して保管するようにしましょう。
ポイント4.作業中のフォークリフトに充電コネクタを載せない
フォークリフトで作業する際に、充電コネクタを座席後ろや足もとに載せたまま運転してしまうと、作業中にコネクタが落下する恐れがあります。
落下の衝撃で破損や歪みにつながるだけでなく、そのままタイヤで踏みつけてしまったり、巻き付いてしまったりとすると重大な事故につながりかねません。「作業中のフォークリフトに充電コネクタを載せない」という基本を徹底するようにしましょう。
まとめ
今回はバッテリーフォークリフトにおけるコネクタの種類や特徴、交換のタイミングや長持ちさせるポイントについてご紹介しました。
フォークリフトの充電コネクタは頻繁に使用するため、ついつい取り扱いが雑になってしまいます。衝撃や負荷が毎回かかると、破損や断線につながりコネクタの寿命を短くする原因になりかねません。
また、漏電や火災といった重大な事故が起こってしまう恐れがあるため、日頃から取り扱いは丁寧におこない、メンテナンスや目視での確認を忘れないようにしましょう。
異常を感じた場合は、すぐに充電コネクタの使用を中止し、修理や交換をおこないます。修理・交換には専門知識が欠かせません(例えば、建屋側のソケット工事には電気工事士の資格が必要)。
交換に不安がある場合は無理に自分で行わず、ディーラーや販売店に依頼するようにしましょう。