フォークリフト充電に必要な電力契約は?電気工事は必要?

フォークリフト充電に必要な電力契約は?電気工事は必要?

電動フォークリフトのバッテリーは、建屋や定置式フォークリフト用充電器のコンセントに電源プラグを差し込んで充電します。

この際に、建屋における電気の使用条件を確認しておかないと、充電にやたらと時間がかかってしまったり、ブレーカー頻繁に落ちるといったことが発生する可能性があります。

今回はフォークリフト充電に必要な電気の使用条件や、電気工事の必要の有無について解説します。

フォークリフト充電に必要な電気の使用条件とは?

電気機器は、照明や家庭用電気機器などの単相機器と、より大きな動力が必要な三相機器に分けられます。単相は2つのコンセントの穴で電気を送りますが、三相のコンセントの穴は3つです。

電動フォークリフトにも単相タイプや三相タイプがあります。三相電源を使うフォークリフトを充電する場合、基本的に以下で記載する業務用の電力契約が必要になります。

電気を使う規模が大きい事業所や施設になると、供給される電圧も大きくなり、逆もまた然りです。業務用の電力契約において、供給される電圧が比較的小さければ「低圧電力」、中小規模であれば「高圧電力」、大規模なら「特別高圧電力」といった形で区分されます。

このうち、供給電圧が200V以下の電圧規模の場合は低圧電力となり、契約電力でいうと50kW未満となります。おもに商店や飲食店、事務所、一般家庭などが対象となります。

一方で、高圧電力とは供給電圧が6000Vの電圧規模を指し、契約電力でいうと50~2000kW未満の範囲となります。おもに中小ビルや中小規模工場などの施設が対象になります。さらに契約電力が2,000kW以上は特別高圧電力となり、大規模工場やオフィスビルなどが対象になります。

それぞれで契約電力の算定方法は異なりますが、契約電力が上がると毎月の基本料金が高くなることは共通しています。電動フォークリフトの導入において契約電力を確認するのは、主に「低圧電力」の場合かと思いますので、ここからは低圧電力の契約について説明します。

低圧電力の契約電力

低圧電力における契約電力の値は、同時に使用できる電力の上限を意味する契約容量(kVA:キロボルトアンペア)を基に決められます。そして、契約容量の決め方には「負荷設備契約」「主開閉器契約」の2種類があります。

負荷設備契約

負荷設備契約は、設備の機器容量(kW:キロワット)を合計して決定しています。この方法は、全ての電気設備が常時稼働する前提で契約容量が決められますので、実働時間が少ない場合は基本料金が高くなります。そのため、工場のように常に機器が稼働しているような場合に有利な契約です。

ただし、フォークリフトの充電といったように、一部の時間しか稼働しない電源が多い場合は、割高になってしまいます。

主開閉器契約

主開閉器契約はブレーカーの容量(A:アンペア)で基本料金を決定します。契約アンペア数を小さくしてしまうと、ブレーカーが落ちて設備の稼働に支障が出てしまいますが、稼働時間が短い機器が多くある場合はコストを抑えられます。契約アンペア数は検針票を見るか、ブレーカーのところに記載されています。

必要となる契約アンペア数や工事の有無を判断するには、使用するフォークリフトの仕様をまず確認します。例えば、電動フォークリフト(TOYOTA geneB 2.5トン)の場合、電源電圧は三相200Vで電源容量は30Aが必要です。

三相200V電源が無い場合は、電気工事をしてコンセントを取り付ける必要があります。その際に、必ずフォークリフトのコンセントの形状を確認しておいてください。具体的には、 20Aストレート式 30Aストレート式 20Aロック式 30Aロック式 といった種類があり、それぞれ形状が違っています。

電力を食う設備がある場合、大きな電流が電線に流れることになるので、建屋の状況によっては細い電線を太い電線に変えたり、トランス交換が必要になる場合もあります。事前に電気工事会社に確認を取っておくと良いでしょう。

また、充電に必要な電源容量よりも契約アンペア数が低いと、ブレーカーが頻繁に落ちてしまい、業務に支障をきたしてしまいます。複数台数を同じ電源回路で充電する場合は、その分だけ電源容量も大きくしなければなりません。

車両によっては、単相100Vで充電できるものもあり、100V電源を使用することもできます。ただし、充電にやたらと時間がかかったり、ブレーカーが飛んでしまうことが多発する場合は容量が足りない可能性があるため、契約アンペアを見直しましょう。  

他にも気を付けるべき点として、電源が専用回路であれば問題ないのですが、併用回路の場合、電源を使っている他の機器の影響で、想定よりも低い電気しか来ておらず、充電に時間がかかりすぎたりしてしまうことがあります。

フォークリフトのバッテリーを長持ちさせる充電のポイント

設備や電力契約が完了したら、フォークリフトを長持ちさせる管理方法についても知っておきましょう。日々の充電やメンテナンスはバッテリーの寿命にも密接に関係しています。適切な充電方法を理解しておかないと、バッテリーが短命になってしまい、交換コストが膨らんでしまいます。

ここからは、フォークリフトのバッテリーを長持ちさせるための充電のポイントをご紹介します。

1.適切な充電頻度を保つ

1つ目のポイントは、適切な充電頻度を保つこと。 バッテリーの頻繁な充電はバッテリー本体に負荷がかかり、寿命が短くなってしまいます。

例えば昼休憩中にちょこちょこと充電するような「継ぎ足し充電」は頻繁な充放電が繰り返され、バッテリーを酷使してしまいます。 充電の目安としてバッテリーの容量が30~35%程度になったら充電をするようにしましょう。

また長時間フォークリフトを稼動させた場合はバッテリー内で熱を持つため、少し時間をおいてクールダウンさせてから充電してください。

2.バッテリーの過放電を避ける

2つ目はバッテリーの過放電を避けること。 バッテリーは充電のし過ぎもよくないですが、充電が少ない状態が長く続く「過放電」の状態も寿命を短くする原因となります。

バッテリー容量が20%を下回ると過放電となるため、バッテリー残量を定期的に確認するようにしておきましょう。

3.バッテリー液の補充や日々のメンテナンスを行う

充電時以外にも、バッテリー液の補充やバッテリー本体を清潔に保つといった日々にメンテナンスも寿命を伸ばすためのポイントです。

まず、バッテリー液が不足した状態でフォークリフトを稼動させると、バッテリー内部の温度上昇や、バッテリー極版がむき出しになり適正な容量を引き出せなくなる恐れがあります。バッテリー劣化を早める原因となるため、メンテナンス時に補充することでバッテリー液を適切な量に保つようにしましょう。

また上部の汚れは自然放電の原因となり、バッテリーの短命化に繋がります。定期的にホコリや汚れを拭き取るなどして、清潔な状態を保ってください。

ホコリなどの汚れのほかに、バッテリーの端子付近や表面に白い粉が付着する場合があります。これはサルフェーションと呼ばれる現象です。バッテリー液が漏れ出して気化後、再結晶化した硫酸鉛で、腐食やバッテリー放電性能を劣化させる原因となります。

サルフェーションは専用のクリーナーを利用することで除去できるため、定期メンテナンスで対応するようにしましょう。

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